あたかもドキュメンタリーのようなリアルさ(『罪の声』)

▼内容紹介

青酸カリを菓子に混入し、世間を震撼させた「ギン萬事件」、この未解決の事件において、子供の声で録音されたテープが金銭の受取場所の指定に使われていた。

京都でスーツのテーラーを営む曽田俊也は、父の遺品の中から、偶然テープを見つけてしまう。

テープから聞こえてきたのは、間違いなく自分の声だった。


青酸カリ混入事件ということで、分かる方も多いかと思いますが、実際にあった事件「グリコ・森永事件」を題材にしています。(作中では「ギンガ・萬堂事件」)

以下の本の表紙にある「キツネ目の男」のモンタージュは有名ですね。

本書は「グリコ・森永事件」を題材にしたといっても、単に材料にしたわけではありません。綿密な調査により、あたかもドキュメンタリーのようなリアルさがあります。

それもそのはずで、綿密な調査に加えて、本書では発生日時や場所、事件に使われた挑戦状や脅迫状の文言、報道内容に関しては、事実通りなのです。

そうした事実を元にしたリアルさに加えて、登場人物たちも現実味があるため、「ギンガ・萬堂事件」が本当にあったのではないかと、錯覚するぐらいの物語となっています。

この「ギンガ・萬堂事件(通称ギン萬事件)」の全貌を解明できるのか?

これが物語の一つの焦点となります。

そして、もうひとつの焦点が「未来へ繋げられるのか?」です。

『罪の声』というタイトルからは、どこか「過去からの呼び声」のような「過去」が連想されます。また、「ギン萬事件」も大事件だったとはいえ、昭和の、いわば「過去」の事件です。

このような「過去」の事件を調べる意味はあるのか?

「未来」に少しでも繋げることができるのか?

その結末は、ぜひその目で確かめてください。