書くための名前のない技術 case1

書くことだけでなく、どんな仕事にも言えるかもしれませんが、それぞれに属人的な細かい技術や工夫があります。

その技術はマニュアルなどには、ほとんど載ることはありません。運が良ければ口伝などで伝わることもありますが、伝承されずに途切れてしまうことも多々あります。

もちろん、すべての人にその技術が有効というわけではないでしょう。

しかし、そんな名前のない技術の積み重ねこそがちがいを産む、そういったことはままあります。

もしかしたら仕事ができるようになるとは、そうした名前のない技術を作り出せるようになることなのかもしれません。

そんな名前のない技術、本書では「書く」ことについての技術をインタビュー形式で見つけていく本なわけです。

少し脱線しますが、この「名前のない技術」、『魍魎の匣』のテーマである「箱」とも関係してくるのではないかと感じています。

「名前のない技術」がこうした本によって「箱」に入れられ、「名前」をつけられる、そうなることで様々な人に名前のなかった技術が伝わります(それが本の意義の一つです)。

ただ名前を付けることで、ずれはどうしても生じてしまうわけですが (『鉄鼠の檻』でふれられたように)、人に伝わる時点でどちらにしろずれは生じています。

むしろそのずれが新しい「名前のない技術」を生むきっかけとなるはずです。

というわけで、「書くこと」に興味のある方はぜひ読んでみてください。

特に佐々木さんという特色のある方が初回ということで、つかみは抜群です。

次巻が楽しみ。

(Kindle Unlimited対象)